モノリンガル、セミリンガル、バイリンガルという種類を聞いたことがありますか?
簡単に言うと「何ヶ国語話せるか」で分かれた呼び名です。
中でも「バイリンガル」は日本でも浸透しているカタカナ英語ですよね。
この記事で説明していくのは、
モノリンガル
バイリンガル
セミリンガル
この3つの特徴や違い、そしてどうしたらそうなっていくのか?について。
実はおうち英語をするにあたっても、知っていると知らないとではおうち英語の進め方も効果も違ってくる、非常に重要な要素なんです。
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- モノリンガル・バイリンガル・セミリンガルの違い
- モノリンガル:1ヶ国語を巧みに使いこなす
- バイリンガル:2ヶ国語を巧みに使いこなす
- セミリンガル:不完全な2ヶ国語を使う
- おうち英語でセミリンガル化を防ぐには
- おわりに
モノリンガル・バイリンガル・セミリンガルの違い
簡単に説明すると、
モノリンガルは1ヶ国語話者、
バイリンガルは2ヶ国語話者、
セミリンガルは完璧でない2ヶ国語話者
という特徴があります。
人とコミュニケーションを取って生きていくためには、モノリンガルになることができればじゅうぶん!
つまり1ヶ国語をきちんと使いこなすことができれば、その言語を使って思考や発言をし、読み書きをして生きていくことができます。
そしてバイリンガルは、特別な言語環境や後天的なきっかけで起こる、2ヶ国語話者のこと。
ただ単に「母国語ともう1ヶ国語を話せる」というよりは、2ヶ国語を使ってコミュニケーションや思考、読み書きの全てが完璧にできるというスキルがある状態を、正式にバイリンガルと呼びます。
そして、一番認知度が低いであろうセミリンガル(別名ダブル・リミテッド)。
2ヶ国語話せるけれど、どちらの言語も完璧ではない状態を言います。
結論から言ってしまうと、バイリンガルを目指す過程で一番避けたいのがこのセミリンガルなんです。
それぞれの特徴を、1つずつ掘り下げてみましょう。
モノリンガル:1ヶ国語を巧みに使いこなす
Mono-lingual と表記し、1ヶ国語を話す人やその状態をいいます。
Mono- というのは「1つの、単一の」という単語をつくるときに用いる接頭辞で、monorail(モノレール)monotone(モノクロ)などにも付きます。
日本ではまだ言語教育がそこまで発展していないので、モノリンガルが多いのです。
ただこの「1ヶ国語を話す状態=モノリンガル」というのは、ただ単に1ヶ国語を話すからモノリンガルだというわけではないんです。
これには一定の基準があり、それは年齢相応の国語力があること。
この、年齢相応の国語力が身に付いた状態でその言語を操る人や状態を、モノリンガルと呼びます。
"1ヶ国語を話す"って全然すごいとは思えない響きだけど、1つの言語を丁寧に学び、年齢相応に操る力がついている状態をモノリンガルと呼ぶなら、立派な言語話者だね
その通り!"1つの言語しか話せない人"ととらえるのではなく、"1つの言語をきちんと学んで使いこなせる人"ととらえるべきだよね。
Cambridge Dictionary で Monolingual を検索してみると、こんな定義が出ます。
able to は「~できる」という意味ですが、同義語の can よりも若干強めのニュアンスを持っていて、どちらかというと「~する能力がある」のように訳されます。
そして最後に well と念押しされていることで、「1つの言語を上手に使いこなす」という形容詞として、辞書にも載っているんです。
単に「to speak one language(1つの言語を話す)」って書かれているよりもなんだか「能力」「スキル」感が出てるね。
バイリンガル:2ヶ国語を巧みに使いこなす
今日紹介する言葉の中で、おそらく一番浸透しているであろうバイリンガルは
Bilingual と表記し、2ヶ国語を話す人やその状態をいいます。
ここではじめに付く Bi- とは、モノリンガルの Mono- と同じく数を表す接頭辞で、「2つの」という意味になります。
モノリンガルは1つの言語において年齢相応のレベルであることが定義となっていましたが、バイリンガルも概念は同じ。
ただ単に2ヶ国語を話せるというだけでは厳密にバイリンガルとはいえず、どちらの言語も年齢相応のレベルに達している状態をいいます。
ちなみに3ヶ国語を操る人のことをトリリンガルと呼び、トリリンガルを含む2ヶ国語以上を話す人をマルチリンガルと呼んだりもします。
そんなバイリンガル話者になりたいと夢見て第2言語を始めたり、わが家のようにおうち英語を始めるご家庭が多いと思いますが、どうしたらバイリンガルになれるのか?という論点はとっても難しく、もはや結果論になってしまうかと思います。
というのも、いくら海外に移住しようが、幼少期から英語に触れていようが、完全なバイリンガルになれるかどうかは不確かなものだからです。
えっ、帰国子女=バイリンガルじゃないの!?
もちろん帰国子女でバイリンガルになれる人もいますが、それは良好な環境と本人の努力と家族のケアと... いろいろな好条件が重なってバイリンガルになったという結果論に過ぎないんです。
というのも、バイリンガルへの道には避けて通れない強敵がいます。
それが、次の項目。
セミリンガル:不完全な2ヶ国語を使う
Semi-lingual と表記するこのタイプ、実は造語で、辞書で調べても出てこない呼び名。
人によっては「差別用語」と考える場合もあるので、使い方には注意しましょう。
とはいえ知名度の高い単語なので、辞書ではなくネット検索をかけると出てきます。
今日ご紹介する中で一番厄介で、一番避けたいのがこのセミリンガル。
複数の言語を操れるけれど、そのどれもが中途半端で年齢相応でない状態をいいます。
1つの国で生まれ育って母国語の土台がしっかり築かれた人はモノリンガルになれますが、セミリンガルは、モノリンガルのレベル(年齢相応の言語レベル)に達しない状態で2ヶ国語を習得している、とても説明しづらい不思議な状態なんです。
そんなセミリンガル、どういう言語環境で起こってしまうのでしょうか。
セミリンガルになる主な要因として考えられているのはこの2つ。
幼少期の言語環境の変化
言語のコードスイッチング
要因1. 幼少期の言語環境の変化
幼少期に海外に移住するなど、言語環境に大きな変化があると起こってしまう可能性の高いセミリンガル状態。
たとえばこんな例。
日本で生まれる
5歳で英語圏へ移住
そこからずっと英語で生活
この子がどうやって言語を習得していくかというと、
日本で生まれる 日本で自然に日本語を習得する
5歳で英語圏へ移住 日本語は5歳レベルのまま、ゼロから英語を習得
そこからずっと英語で生活 日本語のレベルは5歳のまま、もしくは非常にゆっくり発達。5歳でゼロから英語を学ぶので、ネイティブに追いつくのは中学生頃になるとみられる
ネイティブに追いつくことができれば日常生活で困ることはないかと思いますが、5歳で英語圏へ移住してからネイティブに追いつくまでの数年間がセミリンガル状態となり、本人も非常に苦労の絶えない期間になるようです。
もちろんこれはただの例で、こういう境遇で必ずセミリンガルになるというわけではありません。
要因2. 言語のコードスイッチング
複数言語を操る人が無意識のうちに行っている言語のコードスイッチング。
これは、複数の言語を頭の中でスイッチのように切り替える行動のこと。
このコードスイッチングはバイリンガルになる過程では大切な脳の機能といわれていて、複数の言語や文化を認識・理解するために役立つ能力と考えられているのですが、同時にセミリンガルの要因になってしまうこともあるのだそうです。
モノリンガルには難しいといわれているコードスイッチングですが、これに慣れて慢性化してしまうと、 常に楽なほうの言語でしゃべるクセがついてしまうということが起こります。
日本語でしか知らない単語は日本語で、逆に英語でしか知らない単語は英語で話すようになり、結果大人になってもルー語で話すクセがついてしまうんです。
おうち英語でセミリンガル化を防ぐには
早期英語教育に対する意見が分かれる中で、「素人がおうち英語なんてしたらセミリンガルになってしまうのでは…!?」と心配になるパパママも多いと思います。
わたしもおうち英語をするにあたって、子どもをセミリンガルにしないことを強く意識しています。
そのために気をつけるべき点を解説していきます。
まず日本語を伸ばすこと
おうち英語でセミリンガル化を防ぐには、母国語を伸ばすことがとっても重要。
母国語とは、
頭の中で何かを考えるときに使う言語
とっさに口から出てくるほうの言語
論理的思考ができるほうの言語
両親のうち主な保育者が話すほうの言語
この条件に当てはまる言語をいいます。
大半の人が、日本に住んでいれば日本語がそれに該当するでしょう。
母国語を伸ばすことがセミリンガル化を防ぐ理由は、
母国語を伸ばすことで「バイリンガルになろうとしたセミリンガル(=不完全な2ヶ国語話者)」ではなく「モノリンガル(=完全な1ヶ国語話者)」に近づけるから
母国語をしっかり習得することは、第2言語の習得率も上げてくれるから
おうち英語では、「日本に住んでいれば日本語は勝手に覚えてくるから」といって、日本語を完全シャットアウトしてしまう人もごくまれにいるのですが、実は母国語である日本語こそ最も大切に育てなければいけない、軸となる言語なんです。
家か外のどちらかで日本語を使うこと
わが家の場合「家庭内の言語は英語、家の外に出たら日本語」というルールを設けていますが、このように必ず日本語を学んで使う場を確保することがとても大切です。
たとえばインターやプリスクールなど完全英語漬けの環境にいる上で、家庭でも日本語禁止、日本語のTV禁止、日本語の絵本禁止…など、日本語を遮断しすぎてしまうことで、日本語の習得が阻まれてしまいます。
でもインターで英語やってるから英語が母国語になれば大丈夫!と思いきや、実はインターに行っていても英語が母国語になるほど身につくかどうかは人それぞれ。
英語の歌や指示は理解できるかもしれませんが、生徒同士の会話は日本語だったり、バイリンガルの先生だと日本語も通じてしまったりと、蓋を開けてみると意外と英語漬けではないパターンも多いのです。
そうなった場合、日本語も英語も中途半端なまま身についてしまい、結果セミリンガルに…という危険性があるのです。
そういうわけで、英語は英語で習得しても問題ないとして、母国語である日本語を遮断せずちゃんと日本語力もつけていく必要があります。
日本でセミリンガルになることはほぼない
上でお話したように日本語を過度に遮断してしまわない限り、日本にいてセミリンガルになる可能性はないに等しいです。
おうち英語をしていても、インターなど英語環境で育ったとしても、日本で暮らして日本語も普通に使っていれば、日本語習得で困ることはほぼないからです。
日本は英語教育こそ弱いものの、逆に言えば日本語しか話されていない国。
日本語が分からなければ生きていけない国なんです。
そんな国に住んでいて日本語が学べないなんてことはまずないので、バイリンガルにはなれなくてもほぼ確実に日本語モノリンガルにはなれます。
安心しておうち英語を続けて大丈夫です。
おわりに
モノリンガル、バイリンガル、セミリンガルの特徴や違いについて、お分かりいただけましたでしょうか。
日本語のみを話すモノリンガルがいかに優れているかということ、そして同じ2ヶ国語話者でもバイリンガルとセミリンガルという極端な2種類が存在すること。
おうち英語をする上で知っておくべき、重要な情報になっていれば何よりです。